いわにし日記

「いわにし」の取るに足らない日常や思いつき

やる気がないのに握っていてもね

自分はやる気がないのだと気がついた。

もともとやる気はなかったけれど(モチベーション的な意味合いで)、Nさんとシフトに入っているとそれ以外の意味でもやる気がないのだと気づかされる。

週2〜3出勤、ほぼ最低賃金の大学生(仕事振りも最低限)と一緒にシフトに入っている時には気がつかなかった。

モチベーションはなくとも僕の方がまともな仕事振りだという自負があったからだ。上乗せされた時給分だけまとも、という意味ではあるが(週5出勤の大学生には負ける)。

 

Nさんは数年前、同業他社で働いていた。基本的な接客にはなんの問題もなく、店のシステムに慣れてしまえばすぐに戦力として計算の立つ仕事ぶりだ。

1週間シフトを共にして、とても頼もしいと思った。

同じミスを繰り返さない。わからないことや判断が微妙なものについて行動をする前に質問してきてくれる。

「こうやったんですけど大丈夫っすよね?」と事後報告をしてくることが一切ない(このパターンは大丈夫じゃないことが多い)。

自分がこれまで培ってきたものと店の基準とを擦り合わせて、日に日に適応していくNさん。

とても頼もしく、すこし面倒くさい。

 

この棚、少し高くしたらもっと器具の出し入れがしやすくなりますよね?

器具の配置なんですけど、導線考えたらこれとこれをこっちにした方がいいですよね。

この手書きポップなんですけど、お客さんに見やすくするためにこっちに張り替えてもいいですか?

 

Nさんの主張は全て正しい。

すぐにその通りに変えた方がいい。店にとってもお客さんにとっても。

カルロス・ゴーンがやってきたときの日産ってこんな感じだったのかな?

たぶん今の僕と当時の日産の社員は同じ気持ちだ。

「わかっちゃいるけど面倒臭い。」

 

Nさんに言われる前から僕もそう思っていた。変えたほうがいいと思っていた。

わかっていて変えなかったのは、僕は不便を受け入れていたからだ。

器具を出し入れをするたびに棚に少し引っかかるストレスや、雑な配置による美しくない導線の作業場。それらを受け入れ、その状態でなるべく不便を感じないように対処することでやりくりしてきた。よく噛んでゆっくり時間をかけて食べることで、太り方を穏やかにしよう、みたいなアプローチだ。

対してNさんの主張は、量や内容を見直して普通に食べれば太らないようにしよう、みたいなアプローチ。導線を見直して不便そのものを解消しよう、と。

 

正しいけれど面倒臭い。正しいのはあなただけど面倒臭い。

大学時代の同級生を思い出した。日付が変わった後に「明日の授業何限から?」と聞くと必ず「今日な」と訂正してくるやつ(彼は福利厚生のしっかりした立派な企業で高給取りになっている)。

その主張は正しいけど、うあーーーーーーーーーー、だ。

 

Nさんの主張に対する僕の返事は煮え切らない。

「あー、まぁ、確かにね。いっつもそれ気になるんだよね。直したいよねー。」

同意を示しつつも行動に移す素振りは見せない。面倒臭い気持ちを隠せていなかったのかもしれない。

ついに昨日、Nさんが全て自分で変更した。

棚の高さが変わり、導線は美しくなり、手書きのポップはお客さんに見やすい位置に張り替わった。

不便を受け入れていた日々にはもう戻れない。器具を出し入れするたびに感じていたストレス、雑な配置による美しくない導線の作業場にはもう耐えられない(手書きのポップについては元の位置に戻っても別に…)。

 

僕は大切なことに気がついた。とてもとても大切なことだ。

自分の方が職場で先輩だとか、(一応)仕事を教える立場にあるとか、そんなことは関係がないのだ。一切関係がない。焦りの見え始めたグラビア出身のタレントと野菜ソムリエよりも、さらに(あれ?)。

「主導権はやる気のある人に譲る」

乱用されそうになった時だけ釘を刺せばいいのだ。それ元々俺のなんだけど、と。