いわにし日記

「いわにし」の取るに足らない日常や思いつき

Trust Me

二人が幸せなら、それでいい。

僕が思うのは「末長くお幸せに」って、ただそれだけ。

 

 

 

今日と明日(もしくは昨日と今日)の境目で、僕は駐車場のごみ拾いをしていた。ゴミの大半は煙草の吸い殻だ。

店外に灰皿がなく、店内に喫煙スペースのないこの店では、駐車場が広義での灰皿として解釈されている。吸い終わった煙草を足元に捨ててから入店する客はとても多い。

 

深夜でなくてもうるさいエンジン音にゴミを拾う手が止まる。

店の駐車場に車が入ってきた。練馬ナンバーが大半のこの店では珍しい横浜ナンバー。

 

降りてきたのは20代の男女のカップル。

金髪、上下スウェット、サンダル。注文通りの4−6−3(ゲッツー)。クズ客たちの3点セット。

 

人を見た目で判断してはいけないし、見た目で判断できるほど人は単純なものではないけれど、ほとんどの人がそういうことをしてしまうのには理由がある。

だいたい見た目通りだからだ(自分の見た目と性格の悪さの相関性が高いのなんの)。

意外にいいやつとか、こう見えて仲間思いとか…うるせぇよ。予想通りの部分と見たまんまの部分では嫌な奴で仲間以外には冷淡だ。

 

 

 

ビール、あたりめ、ポテトチップス(コンソメ)。2人の買い物の合計金額は800円程だった。

合計金額を伝えると、それまでずっとスマートフォンをいじっていた男は操作をやめ、尻ポケットから型の崩れたブランド財布を取り出した。

女はスマートフォンの画面を凝視して操作を続けている。マニキュアは派手で品がない。

 

小銭入れはパンパンに膨らんでいる。財布をひっくり返し、会計用のトレーに全ての小銭をぶちまける。

一言、「ここから数えて」

男は再びスマートフォンの操作を始める。

 

言われたとおり小銭の山から必要な金額を取り出していく。

今となれば、多めに貰って「丁度いただきます」と嘘をつけばよかったと思うけれど、頭で怒る以上に体はビビっていたので丁度しかもらえなかった。

 

右手でスマートフォンをいじる男が左手を開く。

察した私は残りの小銭を男に渡す。

 

せめてもの抵抗が「ありがとうございます」と「またのお越しをお待ちしております」を言わないこと、というのが情けなく、もどかしい。

店を出ていく背中に中指を立てたり、入店音に合わせて舌打ちをしたりする余裕が持てないほどにビビっていたのだ。

 

 

 

ビビりが収まった頃、男の態度に対する怒りとは別に、女に対する怒りも湧いてきた。

 

「お前が男の態度を注意しろよ(こっちはビビって何も言えないんだから)」

「スマホいじるのをやめて申し訳ない顔くらいしたらどうだ」

「そもそもなんでこんな男と付き合っているんだ」

「幸せな人生を送りたかったら、こんな男とは早く別れなさい」

 

ふと、重要なことに気がついた。

別れないでいてもらったほうがいい。2人には別れないでずっとくっついたままでいてもらいたい。

いや、本当に。

別れられないだけで幸せではない状態でいてくれればそれがベストだけれども、そこまでの高望みはさすがにしない。

別れないでいてくれるだけでいい。

なんというか、外れくじを抽選箱に戻すな、って感じだ。

 

地球規模で考えた場合、今回のようなクズ同士のカップルは数千組、いや、数万組は存在しているだろう(60億とか70億とかって人数がいるんだから、下手すりゃ数百万組?)。

クズカップルに破局されてしまったら、カップル数×2の外れくじが抽選箱に戻されることになる。ただでさえ当たりの少ない単身者同士の抽選箱に大量の外れくじが混入されるなんてあってはならない。

大当たりじゃないにしても(1等は残ってない)、4等の今治タオルセットくらいは当てたいじゃないの。

 

 

 

信じてもらえないかもしれないけど、僕は全ての単身者の為に身を削っている。本当はこんなこと書きたくもない(心が痛い)。

僕は、自分がクズカップルとは違う種類の外れくじだと理解しているし、僕に引かれたらくじの方が「外れに引かれた」と落胆するのも理解している。

信じてもらえないかもしれないけど、全ての単身者が素敵なパートナーに出会えることを願っているから、無理してひどいことを書いている。

 

だからお願い。

全てのクズカップルの皆さん、絶対に別れないで。抽選箱に戻ってこないで。

あなたたちは運命に導かれて出会った2人だと思うから、だからお願い、末長くお幸せに(信じてもらえないかもしれないけど)。