いわにし日記

「いわにし」の取るに足らない日常や思いつき

隣のお部屋はどちら様?

今のアパートには、もう6年以上住んでいる。大学の4年間を親の稼ぎで住まわせてもらった後、今のアパートに引っ越してきた。

 

大学の時のアパートとは家賃が25000円も違う。親の稼ぎが立派なものだったと取るか、僕の稼ぎがしょぼくれたものと取るか。

 

大学の時のアパートは綺麗だった。築10年程度で、8畳の1K。ウォシュレット付きのトイレだったし、追い焚き機能こそついていなかったけれど、風呂の温度は設定できた。キッチンには床下収納があったっけ。

 

入居日に両親と上京し、生活に必要なものを買い揃えた。部屋のトイレを最初に使ったのが父親で、あろうことか大の方だった。

絶対に許さないからな、と思った。買ってきたばかりの漫画を先に読まれた気分だ。

 

この人はどういう神経をしているのだろう、と思った。親の金で借りた部屋で、親の金でこれから4年間の家賃を払っていくというのに。

 

大学の4年間を過ごした部屋が快適なものだったことを本当の意味で理解したのは、卒業後今のアパートに引っ越しをしてからだ。

予算の都合で築浅の綺麗なアパートは全く選ぶことができなかった。選択肢のスタートラインは築20年の物件だった。


22歳の自分が築20年以上の物件を選ぶことを正常なこととするため、当時の僕は、築浅の物件を好む奴はロリコンということにした。

 

嫌ーねー、あの人築浅の物件ばっかり探しちゃって。キモいキモい。

物件ロリコン、気持ち悪い!!!

 

引っ越し先の今のアパートは築30年程の6畳1R。ユニットバスで、温度調節は手動。お湯と水の配分を変えるやり方。

 

入居直後にトラブルが多かった。シンクの下は水漏れしていて、ボイラーの故障でお湯が出ない。エアコンも壊れていて、風が出てこない。さらには前の入居者のCS放送の配線がまるごと押し入れに残された状況でもあった。

 

大家さんに連絡をした。酷すぎる、と大家さんまでご立腹。不動産屋を仲介せずに、全て自分の知り合いの業者さんを手配してくれた。
お陰で、エアコンが新品になった。それだけは不幸中の幸い。

 

今のアパートは家賃を考えたらとても快適なのだが、箱の中に住んでいる、という感覚が強い。
ふとした瞬間に、自分は今箱の中に閉じ込められていると感じる。一日中部屋の中で過ごしている日は特に。

 

閉じ込められている感覚はあるが、圧迫感はそれほどない。壁が薄いからだろうか?
マジックミラー号がちゃちな作りなのは、いざとなったら女性が突き破って逃げ出せるためって聞いたことあるけど、それと同じなのだろうか?

 

キレていることをアピールするための壁ドンで穴が空くと思う。自分の拳が痛まないように力加減を気にしつつ、ポーズとしてドンっと殴っただけで穴があきそう。
隣の部屋に丸出しになった拳はどうするのだろう?やっぱり茶目っ気を見せるためにキツネの形にするのだろうか。

 

壁を殴ることはしないけれど、万が一に備えて風呂上がりは壁に寄りかからないようにしている。
僕の見立てでは、びしょ濡れのデブが10分寄りかかっていれば、隣の部屋へと転がり込める。
それくらい薄く、それくらい突き破るのが容易に感じる壁なのだ。

 

この春に両隣の部屋の住人が引っ越しをした。引っ越しをした部屋はドアポストにテープが貼られる。

 

テープが貼られている部屋=空室

 

左隣の部屋はすぐに新しい入居者が決まった。安いアパートなので引っ越しの挨拶は当然ないのだが、生活音が聞こえるのですぐにわかる。

 

右隣の部屋は未だ入居者が決まらない。ドアポストにはテープが貼られたまま。

 

壁の薄いアパートだ。お互い様とはいえ、生活音が大きくならないように気遣う必要がある。両隣の部屋に気を遣うのと、片方だけに気を使うのとでは負担の大きさが違う。

 

どういうわけか、右隣の部屋から生活音が聞こえる。遅番のシフトでバイトに入っている僕が帰宅し、そろそろ寝ようかと考える午前6時頃、右隣の部屋からは朝の慌ただしさを感じさせる生活音が聞こえてくる。


シャワーの音やドタバタと支度をする音が聞こえる。あとは時々雨戸を開閉する音も。
ただ、ドアの開閉音は聞こえてこない。1番大きいあの音は聞こえてこない。

 

ドアの前には傘が一本置いてある。誰も住んでいないはずなのに。
晴れの日に傘は動かない。曇りの日も動かない。そして、雨の日も動かない。
場所が変わらないし、スナップボタンが外されていることも、先端に雨水がたまっていることもない。

 

光熱費の支払い請求だろうか、ポスティングとは違う用紙がドアの隙間に差し込まれている。
ずっと差し込まれている。

 

テープが貼られたままのドアポスト。使っている形跡がない傘が一本。ドアの隙間にはなんらかの請求用紙が差し込まれている。

 

生活音は聞こえてくるが、ドアの開閉音は聞こえてこない。

 

誰か住んでいるのだろうか?