いわにし日記

「いわにし」の取るに足らない日常や思いつき

卒業旅行のそれぞれ

引っ越し、帰省、飲み会、合コン、卒業旅行。金、金、金、金、金。

 

バイト先の大学生の話を聞いていると、とにかく金が必要とのこと。春から新社会人になり、あっさりと僕の月収を上回る彼だが、今は本当にきつい時期らしい。

 

引っ越しだけは本当にきついよなぁ、一気に20万円くらい必要になるし。

一通り話を聞き終えて僕が思うのはたったこれだけ。他の出費のことはなんとも思わない。結構シフトに入っているので、帰省の交通費くらいはなんとかなるはず。普段の様子を見る限り、ギリギリの生活を送っているとは思えない(出勤時にスタバのカップを持って現れることがしばしば)。

 

先輩に後輩が奢るのが伝統なんで。

そこはやっぱり格好つけたいところなんで。

 

飲み会や合コンに使うお金を減らせばすぐに貯まるんじゃないの?と問うた僕は、こう返答されて何も言葉が出なくなる。

 

サークルの伝統はあるだろうし、女の子に対する見栄もあるだろうけど、そもそも金欠なんだから3回に1回くらいは断れよ。

そう思ってしまうのだが、その文法で生きていたら、毎月毎月給料日から1週間も経過しないうちにバイト代を使い切る生活を送らないだろう。

 

バイト代を使い切ったあとはどうするの?と聞くと、実家からのを仕送りを切り詰めて遊びに使ったり(その工夫をもっと手前でしていれば)、友達に奢ってもらったりして乗り切っています(逞しい!持つべきは友!!)、と返ってくる。

生活そのものを持続させることは可能らしい。バイト代を使い切った後に不可能になるのは、後輩や女の子に格好つけることだけのようだ。

 

たぶん卒業旅行だけ。彼が用意できない可能性を残しているのは、金額の定まっていない卒業旅行の費用だけ。

ぼんやりと海外に行くことだけは決めているらしい。

 

大学生が卒業旅行で海外に行くのは普通のことなのだろうか?そもそも卒業旅行に行くことは普通のことなのだろうか?

大学生の普通がわからない。僕の送ったキャンパスライフを基準にすれば普通のことではないのだが、この基準がずれている可能性がものすごく高いのだ。

 

大学のゼミの同期で卒業旅行で海外に行った人がいる。当時付き合っていた彼女とスペインに行った。

情熱の国に負けず劣らず燃やした恋情を、携え損ねての入国。二人の間は旅行までにすっかり冷めていたそうな。

闘牛が直線的に割って入るまでもなく、別れが決まっていた二人だったのだ(キャンセルが出来ないタイミングで別れが決まったのだとか)。

 

4年間ちゃんと通って、4年で卒業して、ちゃんとしたゼミにも入っていたけれど(同期は15人)、僕が知っている卒業旅行のエピソードはこれですべて。どうやら行ったらしいぞ、って人は何人か知っているが、ある程度具体的な話で知っているのは先の一件だけ。

身内も含めればもう一件あるが、それですら兄はスウェーデンに行ったらしいと母からの電話でなんとなく聞いた程度(裏が取れていない情報)。弟が卒業旅行にいったかどうかは全く知らない。

 

大学4年間で親しくして(もらって)いた友人が卒業旅行に行ったのかどうかを僕は知らない。ゼミの同期のうち何人が卒業旅行に行ったのかどうかを僕は知らない。

僕が知りうる可能性があったのはこの2つのコミュニティだけ。そして僕が知っているのは、少なくとも僕は誘われていない、というただ一点の事実のみ。

 

卒業旅行を全く意識していなかった(強がってない)。クリスマスやバレンタインはものすごく意識していたのに(彼女も仲のいい女の子もいないのに)卒業旅行は全くだった。

 

万が一がないわけじゃないじゃん。

クリスマスやバレンタインに対する期待と、現実の僕との距離。

すごく離れている。すごくすごく離れている。

 

「万が一」の時点で織姫と彦星なのに、「万が一がないわけじゃないじゃん」は、もはやバルタン星人とおしりかじり虫。

その二人って一度でも会ったことあるの?

 

意識する対象ですらない、というのが僕と卒業旅行との距離だった。電話で母に聞かれるまで、本当に意識したことがなかったのだ。

うーん、まぁ、どうしようかな、と思って…その時はモニョモニョゴニョゴニョと口ごもった。

 

今思えば、聞かれたあのタイミングで未定なら、我が子が卒業旅行に行かないことを理解できてしまっただろう。

 

卒業後の進路が決まっていない息子にはお金がなくて。

大学に4年間通っても一緒に卒業旅行に行く仲のいい友人を作れなくて。

 

理解できてしまった母はどちらの理由を想像しただろうか。

 

前者の理由と僕との距離はすごく近い。

後者の理由と僕との距離はすごくすごく近い。