いわにし日記

「いわにし」の取るに足らない日常や思いつき

唇のぷつぷつ(フォアダイス)が増え続けているので、病院に行って診察してもらいました(2-a)

ペンライトを持った男性医師が僕の唇の様子を観察する。

 

おそらくフォアダイスでしょう。

 

男性医師はメモ用紙にカタカナで「フォアダイス」と記入して僕に手渡す。

 

聞いたことないでしょ?フォアダイス、って言葉。最近はまあこういうこともできるので…

 

そう言って医師はポケットからスマートフォンを取り出す。グーグル検索をして、ある一枚の写真を見せてくれた。

写真の中にある唇はまさに僕の唇と同じ症状だった。半透明の白いぷつぷつが上唇の中央に密集している。

 

フォアダイスというのは皮脂のことらしい。独立皮脂腺に皮脂が溜まった状態、とのこと。

 

通常は毛穴と皮脂腺はセットになっていて、毛穴から皮脂は流れ出る。しかし、独立皮脂腺は毛穴を伴わないため皮脂が流れ出ない。

皮脂が皮脂腺に溜まっていった結果、表面にぷつぷつができた、とのこと。

 

唇にできたフォアダイスには有効な治療法がなく、薬で治すこともできない。これが医師の見解。

 

レーザー治療を行うことは可能だが、それはどうしても気になる場合に要相談、とのスタンスだった。医師は積極的に勧めることをしなかった。

 

実際にレーザー治療を受けた人の中には、やっぱりやめておけばよかった、と言う人もいるのだとか。

 

フォアダイスだけが綺麗になくなり、かつての唇の状態を取り戻す、とはならないようだ。綺麗に治療をしても、よく見れば治療を受けたことがわかるらしい。

 

一番気にするのは本人だ。本人以上に深刻な問題として捉えている人はおそらくいない。

よく見れば治療の跡がわかるということは、フォアダイスではないものが唇にあるということ。今度はそれを気にして生きていくということ。

 

治療を受けた後にやっぱりやめておけば…と言う人がいることに何ら疑問はない。唇を気にしないで生きたいきたいのだ。どんなに綺麗に仕上げてもらっても、跡が気になってしまえばそれはもうストレスでしかない。

 

医師はそのままでいいと思うけど、と言った。気にして見なきゃそんなに目立ってないし、とも。

 

僕は、いやーでも自分の唇なんでものすごく目立っているように感じてしまうんですよね…と言った。

 

ん?いやー、まあ、目立つか。まあ、気にして見れば。と医師。

発言はあっさりと覆る。そんな強い力で押したつもりはないのに、くるりと回って反対の意見に変わってしまった。

 

一通りの説明は終わったようだ。じゃあまた何かあればね、とまとめにかかってくる。僕は勇気を出して、言葉を発した。退室を促される前に口を開く。

 

あの、フォアダイスっていうのは他人に感染することはありますか?

 

いやいや、ないよ。誰かに感染することはない。脂だからね、皮脂だよ、皮脂。たまたまそれが唇に溜まってしまっただけ。

 

言質を取ることができた。

他人に迷惑をかける心配がない(見た目は気持ち悪いけど、それは唇に限らずお顔の全体でも同様)ことがわかり安心をした。退室をして会計を待つ。

 

薬の処方も治療もなく診察だけで終了をした。初診にもかかわらず請求金額は1,000円程度。

 

財布の中の5万円とクレジットカードに出番がなかったのはいいことなのか、悪いことなのか。

 

何も解決はしていない。唇の中央にはフォアダイスが密集したままだ。

収穫といえば、これは皮脂であり他人に感染する心配がないものだとわかったこと。あともう一つ、カタカナで「フォアダイス」と書いたメモ用紙をもらったこと。

 

退室するときに、これは君にあげるよ、と手渡された。どうしろというのだろう。診察室にゴミ箱はないから代わりに捨てておいて、ってこと?

 

レーザー治療を受ける可能性も想像して家を出た。病気ではなく、他人に感染する心配もないことを伝えられて安心はした。

だが、手応えのようなものはなく、目当ての特売品が売り切れていた時のような、どうしても欲しかったわけじゃないけどなんかな…というモヤモヤを抱えて帰路に着く。

 

行きに抱えていたのは唇のぷつぷつだけだったが、帰りは心にモヤモヤを抱え、ゆらゆらと電車に揺られる。うじうじうだうだと考えを巡らせながら、カタカタとキーボードを叩く。完成したブログのアクセスがぐんぐんと伸びていくなんて都合の良い展開は待っておらず、いわにしの文章力がめきめきと上達することもない。

 

フォアダイスだけが唇にその数を増やしていく。着々と、確かな足取りでもって。