いわにし日記

「いわにし」の取るに足らない日常や思いつき

ぽっかりを埋めない

そろそろ心の準備が必要だ。

大掃除をするのなら、心にはその気になってもらう必要がある。準備運動もせずにいきなり全力疾走をする(怪我をせずに)しなやかさを持ちあわせてはいないのだ。

 

一足先に(掃除をしやすい環境作りも兼ねて)、不要品をメルカリで処分した。困ったときのメルカリ様様。コーヒー代になりそうなコンディションのものはなんでもかんでも出品した。

 

着ない服、履かない靴、使わない調味料。観ないDVD、読まない本、食べないシリアル、貰い物のお皿。貯まった手紙、叶わない約束、捨てられない写真、消えない声(何て曲の歌詞だっけ?)。

 

不要になったあらゆるものを出品して、塵を積もらせて山を築く。小さな売り上げと、(時々)大きな売り上げを積み上げていく。

一つ一つの取引は300円から500円の利益にしかならなくても、トータルで3万円を超えたのだから、積もった塵には頭が下がる。

 

出品と発送に手かかった時間(と面倒臭さも考慮して)を自給換算すると、バイトに行くよりも高給であることがわかる。嬉しいやら悲しいやらのその事実を前に、時間さえ提供すれば給与が発生するシステムをありがたく感じたり、提供時間しか価値換算されないことを悲しく感じたりする。

 

兎にも角にも3万円。だらしのない消費活動を行なっているから処分が必要になるのだが、現時点で自分にとっての価値を失ったものに値段がついたのだ。その金額の合計が3万円。

購入金額は関係がない(とはいえ、気にしていないと言ったら嘘になる)。

 

5万円で買ったアウターだから2万円以上じゃなきゃ手放せない。

そんな気持ちになることはあるが、手放そうとしているアウターはもう着ない。自分にとっての価値がとても小さなものになっているから手放そうとしているのだ。

 

自分に問いかける。

 

2万円でどうだい?中古だけどコンディションはかなりいいぜ。

 

要らない。

 

2万円でどうだい?新品でタグもついたままだぜ。

 

要らない。

 

言わずもがなの一発回答。要らないと答えるまでに「…」が挟まる余地はない。

 

5万円で買った時に、5万円で買うことに納得したのは自分自身。2万円で出品されている(自分の出品)のを見て、2万円で買うことに納得していないのも自分自身(新品だと想定しても結果は同じ)。

買い手がすぐにつかなければ、相場よりも安くする。出来るだけ時間をかけないのが上手な売り方。

 

転売をして利益を上げることが目的ならば、安易な値下げをしてはいけないだろう。しかし、目的は狭い六畳一間(大家さん、ごめんなさい。悪いのは物を溜め込んだ私です)を整理することだ。

 

整理をして生活する空間を取り戻す。取り戻した快適空間にやってきた売上金はご祝儀みたいなものだ。ついでのラッキー。お腹いっぱい焼肉を食べた後にお食事券をもらうようなもの。

 

お腹いっぱいのときにそんなもんもらっても困るよ、要らないよ、と思う(あなた、例え下手ね)。

今俺が飯食ってたの見ただろ。気持ち悪くなるまで食べたばっかのところで、よりによってお食事券って…どうせなら横になれる布団をくれよ。

 

貰ったその日はセンスのないプレゼントを渡された、と迷惑のように感じるかもしれない。だけど翌日の仕事終わりに財布の中に見つけたら、神はいた(ここにいた!)と強く思うだろう。

一旦空腹を取り戻してしまえば、お食事券は終身名誉ご祝儀として確固たる地位を築くことになる(あっさりとすぐに使ってしまうけど)。

 

もうこれ以上は何も要らない。

何も増やさない。

 

メルカリで不要品を処分した部屋の中、クローゼットの中(扉こそクローゼットだけど、内部構造は完全に押入れ)には、必要なものとお気に入りのものだけが残った。無理矢理押し込んだ荷物がなければ、隠し通せなかった浮気相手もいない。忘れられない横顔も、消し去れない犯罪履歴も、もちろん。

 

必要なものとお気に入りのものだけが詰め込まれた部屋の中は少し寂しい。やっと取り戻した快適空間も数日後にはただの六畳一間にしか感じられない。

 

手放したアウターがかけられていた場所は空いている。

不要になっていたし(服が増えて)着る予定もなかったけれど、その不在を認識するたびにかつて存在していたことを思い出す。

「すっきり」が「ぽっかり」へと変わっていく。

 

一度でもぽっかりを感じたら、すっきりに戻ることはない。二度と元へは戻らない。この不可逆的な感覚が愚かな歴史を繰り返してきた。

 

だからこそ、食い止めなければならない。売上金をクローゼットの空白を埋めるための購入資金に換えてはならない。こちらも不可逆。二度と元へは戻らない。

 

世の中が挑発してくる。

クリスマス、大晦日、お正月。

セール、セール、セール。

おまけにクレジットカードはボーナス払い期間に突入する(支払いは8月だ!!!)

 

挑発に乗ってはいけない。

相手が先でも手を出したらこちらの負けだ。

 

 

心の準備は出来ている?

その気にならなきゃ食い止められないぞ。