いわにし日記

「いわにし」の取るに足らない日常や思いつき

お父さんの方が少ない

一般的なサラリーマンにはなれなかったので、大学を卒業して以降、お盆はシフトが埋まらない時期でしかなくなった。
年末年始もゴールデンウィークも同様で、連休の恩恵を受けることがない。

 

盆と正月くらいは実家に顔を出す。地元を離れて暮らす人間の最低限の気遣いというか、ろくに連絡もしないこちらにとっての年間の帳尻合わせというか。


心のどこかでは常々気にかけているってことを体現する貴重な機会だと思っている。帰省したところで、基本的には聞かれたこと以外はほとんど喋らないけど。

 

喋らないのは大人の事情ってやつではない。実家で両親相手に守秘義務を守るつもりもないし、なんなら外部に漏れちゃいけないようなバイト先の事情を簡単に教えちゃうけど、聞かれてもないことを喋るのは恥ずかしい。

聞かれたから答える、くらいの感じじゃないと恥ずかしくて喋れない。

 

あなたがどうしてもグッピーを見せたいって言うから、私は部屋まできたの。好意がなきゃ部屋までついていかないけど、上手に言い訳くらいはさせてほしい。

 

そういう女心と同じ(そうなの?)。

 

アルバイトはどうなんだ?問題は何もないのか?って聞かれたから、バイトの大学生が落し物の財布に手をつけて、警察の人と一緒に防犯カメラの映像を確認することになった話を喋ることができるの。


今回の帰省の目玉エピソードとして用意しているけれど、聞かれたから仕方なく、って言い訳くらいはさせてほしい。

それに28歳にもなって、開口一番親に喋りたいことがあるなんて恥ずかしいじゃないか。

 

盆に帰るのは流石に無理だけど、盆にシフトを休んでいた人たちが戻ってきたら、遅めの夏休みをもらうことにしている。
その期間に帰省をするのが恒例となっている。

 

バイトの休みが決まり、高速バスのチケットを取る。準備が整ってから実家に連絡をするのだが、いつも迷ってしまう。どちらに連絡をしたらいいのだろう?

 

父と母のどちらに連絡をしたらいいのかわからない。ここ数年ずっと迷っていて、どちらという意味ではいまだに答えが出ていない。


実家の方から、そろそろ休みは決まったの?と連絡をしてきてくれるのが一番楽で、それがタイミングよくやって来ない時は、メールでの連絡を諦める。実家の固定電話に連絡を入れることにしている。

 

あー、やっぱりお母さんに連絡しちゃうんだ。


あー、こういう時はお父さんなんだ。

 

どちらに連絡を入れるにしても、どちらかを選ばなかった事実は残る。

 

何も気を遣わないで選べば、母にメールするだろう。父にメールする方が気軽さに欠ける。

それで普通だし、そんなもんなんだけど、自分が父の立場だったらと想像すると、やっぱりお母さんに連絡しちゃうんだ、と思う。

絶対に思う。積もり積もって遺言状に一筆したためてしまうかもしれない。

 

相続は次男以外で等分とする、って書いちゃうかもしれない。その根拠として添付された資料には、どちらにメールしたか正の字で書かれている。

お父さん38回、お母さん749回と反論の余地がないデータを突きつけられる。

 

遺産相続で不利になりたくない!!!


お父さん、私はあなたの方が好きです。尊敬してます、格好いい。スカーフが似合うなんて素敵!

 

秘密裏にデータ採集をしているかどうかは知らないけれど、父と息子の関係というものを考えると、気を遣ってでも連絡は父に入れた方がいいのかな、と思う。

 

毎回の連絡を父に入れるとなると、それはそれで恥ずかしいし、妙に距離が近づいてもなんか気持ち悪い。だけど普通にしてたら母に連絡を入れてしまう中で、わざわざ父を選ぶことには意味があるんじゃないかと考えている。

 

母との関係とは形が違うけれど、あなたに対しての気持ちは、それはそれでちゃんとしたものがありますよ、と。

 

とはいえ年に数回しか連絡をしない中で、毎回父ってわけにもいかない。上手に母も混ぜないと、母が気づいてモヤモヤするかもしれない。

あの子はお父さんにしか連絡を入れない…。

 

両方をうまく立てるバランスがわからないから、そっちから連絡してきて、と思う。そしたら毎回父でも、毎回母でもどっちでもよくなるから。

 

来たメールに返信しただけだから。


そういうシステムを採用して、上手に言い訳をさせてくれよ。連絡を取り合うこと自体は嫌ではないから。