いわにし日記

「いわにし」の取るに足らない日常や思いつき

服屋で服買うノット常連

入荷の連絡を受けてからすでに4日が経過していた。

なるべく早く受け取りに行こうと思っていたが、店舗の営業時間中に伺える日がなかなかなかった。休日の今日、やっと受け取ることができた。

 

休日以外でも受け取りに行けなくはないのだが、バイトの前に無理をしてまで行く気にはなれない。

服屋(この言い方でダサいのがバレる)に行くとき、僕は自分なりにお洒落をしていく。なんの見栄かわからないし、気合の入った格好を見せることでむしろ店員さんにダサさが筒抜けという気もするけれど。

休日まで受け取りに行かなかったのは、その格好でバイトに行くのが恥ずかしいからだ。

お洒落をして行ったとて時給は上がらない。自分が服屋に足を運ぶ事実を知られたくもない。ネットで適当に買ったそれっぽい服を着ている人と思われているくらいが僕の見た目にはちょうどいいのだ。

それに「取り置きをお願いしている製品ではないからな」と思ってしまっていた。

 

今回受け取りに行った製品は取り置きではない。受け取りが遅くなってもそのせいで買えなくなる他のお客さんは生まれない。

100%買うとき以外取り置きのお願いはしないけど、取り置きをお願いするときは休日まで待たず、すぐに店に行く。

支払い済みかどうかは店にとっては大きな問題だ。口でいくら約束をしたって取り置きにはキャンセルの可能性が含まれている。

支払いを終えていることを理由にして、受け取りを休日まで先延ばしにしていた。

連絡から4日後の受け取り、というのが一般的な感覚でアウトかセーフかは正直なところわからない。

服を店で買うのが当たり前になったのはここ一年の話だ。

 

店の中にいたのはいつもとは違う店員さんだった。正しくは「いつもいるけど僕の接客を担当していない」店員さんだった。

「こんにちは」と声を掛ける。「あの、予約の受け取りできました。」

ポケットに手を突っ込む。いつもの店員さんではなかったので財布の中に入れておいた予約の控えを見せようと思ったのだ。

 

ポケットから出した手に財布は握られていない。僕を見た店員さんの反応が予想に反していたからだ。

「予約されていたシャツの受け取りですよね」

店員さんは僕のことを把握していた。そのうえ受け取りに来た商品まで把握しているなんて、まさかのまさかだ。

嬉しさではなく、純粋な驚きが僕の頭のなかを駆け巡った。

「こいつ見たことあるぞ、あのブランドが好きなやつだよな。」それぐらいなら把握されていてもまさかとは思わない。

「こいつは今日、あのブランドの、予約していたシャツを受け取りに来た。」ここまで把握されているなんて思いもよらなかった。

いつも接客を担当してくれていた人がこの反応ならまだしも、あなたと私は挨拶くらいしか交わしたことがないじゃないですか(いつもの店員さんとだってそんなに会話してない)。

本当に驚いた。

 

好きなブランドの受注会にお邪魔したのがこの店に通い始めるきっかけだ。

受注会は春夏と秋冬にそれぞれ一回ずつ、年2回開催される。

春夏コレクション(言い方合ってる?)のなかでも、ジャケットなら3月、チノパンなら4月みたいに製品によって納品月が違っている。

受注会(2回)+受け取り(数回)。

僕にとってはこれが店に行く回数の全てになる。

この1年で店に行ったのは全部で7回。

店員さんとまともにコミュニケーションをとったのは受注会の2回だけで、受け取りのときは一言二言交わす程度で店を出る。

 

思い返せば初めて受け取りに行ったときも同じことを感じていた。

一年前の受注会(店に行くこと自体初めて)は完全なる一見さんとしてお邪魔していた。そのときに接客をしてくれたのが僕にとっての「いつもの店員さん」だった。

5ヶ月後初めて受け取りに行ったとき、僕は財布から予約の控えを取り出そうとした。いつもの店員さんは「大丈夫ですよ、予約された品番わかっているので」、そう声をかけてきたのだ。

 

受注会のときを除けば、毎回2~3分で店を出る。デザートコーナーの前でちょっと悩んだ日のコンビニ滞在時間よりも短い。店に顔を出すのは2ヶ月に1度程度のペース(それだってまだ1年程度の話)。

それでいてすでに僕の顔を覚え、予約した製品を把握している。

もしかして店で買う人は少ないのだろうか?

定期的に店を訪れて購入をする人は、想像以上に少ないのかもしれない。

来店期間、来店頻度、購入金額。どれをとっても決して多いとは言えない僕のことを店員さんが把握している。辻褄を合わせようとすると、どうしてもそちらに考えが向かってしまう。

定期的に店で買うお客さんが大勢いたら、新参で小口顧客の僕を把握しているわけがない。店で買う人が少ないと考えるのが自然だ。

 

送料無料、ポイント10倍、値引きクーポン券…などなど。同じ商品を買うなら少しでもお得な店で、って考えてしまうもんなぁ。一本奥に賞味期限が2日長いやつが見えていて手前の牛乳を選ぶ精神的・経済的余裕はなかなか持てないもんなぁ。

 

品質がある程度わかっている場合、実際の質感とかフィット感とかを確かめることや、店員さんに相談しながら選ぶことにそこまで大きな価値を見出せない。品質なんて自分にはよくわからないし、わざわざ試着してもどうせいつも通りMサイズだし、とか考えてしまうと余計に。

それに比べるとポイント10倍とか値引きクーポンとかのほうが価値を見出しやすい。なんというか、こっちのほうが手応えがある。

定期的に通うことはもちろん、店頭で買うことから遠ざかってしまうのは、当然といえば当然の気がする。

全員が手取り50万ある世の中なら違うのかもしれないけど20万30万がせいぜいではそんなものだろう。僕の収入で今の支出ができているのは貯金を一切せず、誰とも付き合いのない生活を送っているからだし。

 

服屋(やっぱ言い方でダサいな)に足を運ぶようになって気がついたものがこれだもの。ほとほとお洒落には縁がない。

そんなことより店員さんの着こなしでも目に焼き付けて帰って来なよ。