いわにし日記

「いわにし」の取るに足らない日常や思いつき

クラスの1軍の不思議

金持ちの家に生まれていたらな…。

男前に生まれていたらな…。

もし自分が女だったら…。

 

Superflyくらい歌上手かったら歌手目指すよな…。

橋本環奈くらい可愛かったらアイドル目指すよな…。

 

たらればたらればたられば。

 

無い物ねだりも、現実を生きる自分からの距離が遠くなるほどにねだらなくなる。

「5万くれ」は真剣に願えるのに、「1億くれ」は真剣に願えない。どう願ったら「真剣に」なのかがちっともわからない。ちゃんと歌ってよ、とパートリーダーに怒られる音痴な人の気持ち。ちゃんと、って何?どうなってたらよかったの?

 

あいつの家くらい金あったらな、あいつくらいの容姿だったらな。自分からの距離がそう遠くないものについてはねだることができる。

ないなりに万が一があるんじゃないかと期待することができる。

 

すでにある人が、きっと手に入れることができるだろうものをねだる。クラスの1軍にいる男女がアイドルを目指す。売れっ子になること、人気者になることを目指す。

 

野球が上手な人がプロ野球選手を目指す。サッカーが上手な人がプロサッカー選手を目指す。クラスの1軍にいる人たちがアイドルを目指す。

 

そりゃそうだろ、と思う反面、なんでわざわざそんな険しい道を、とも思う。もっと楽な道があるだろうに、と。

スポーツ選手に、その道で頑張れ、と思うのとは違う気持ちが芽生える。

 

学生時代、特に中学以降、僕はクラスの1軍からはどんどんと遠ざかっていった。

昔はあんなに可愛かったのに…のパターンではない。マラソン大会でスタート直後に集団を飛び出すお調子者の失速ではなく、中学以降に導入される新たな価値観による失速(もちろん小学生の時だって顔面では2軍3軍)。

 

イケてるか、イケてないか。

 

小学生の頃には通用した主張の強さ、声のデカさでは太刀打ちできない(僕はこのやり口で教室の真ん中のグループにいた)。イケてる、ということが、明確な暴力を除いて最も強い力となった。

 

就職活動における学歴フィルターよろしく(僕の通っていた大学だと説明会の申し込み開始の瞬間から満席表示、もっと上の大学だと空席あり、なんてことがありました。システムエラーだと思いますけどね、偶然の)、中学以降はイケてる側にいないだけであらゆることから振り落とされる。

そして残念なことにイケてない人間が1軍に上がる可能性はない。浮上はないし、再浮上もない。

 

1軍の人間も一度2軍落ちをしてしまえば、高校進学までは2軍以下のまま。昔を知る人間のいない場所でしかスターダムを駆け上がれないサバイバルシステムになっている。

 

地域や学校によって多少の違いはあれど、一定以上の容姿とノリの良さを兼ね備えていなければ、1軍に在籍し続けることは不可能なのだ。

 

一定以上の容姿とノリの良さで1軍に在籍し続けた人間と、抜群に整った容姿の人間がアイドルになる。

グループアイドル全盛のこの時代、容姿の整い方やノリの良し悪しに多少の幅は出てきたが、それでも基本的には今も昔も変わらない。

応援する側も(多少は幅が広がったとはいえ)基本的には変わらない。

 

学生時代の各セクションを1軍で過ごした彼ら・彼女らは、2軍以下の(特に3軍以下を)クラスメイトとほとんど交流を持っていない。

文化祭、体育祭の時に限って一軍の彼らが言う「クラスのみんな」に、中学以降は含まれていた経験がない。

 

だから不思議なのだ。

学生時代には相手にしていなかった人間を相手にする職業を目指すことが。

 

学生時代に触れ合ってきたクラスの1軍はメイン顧客にならない。彼ら彼女らはまず数が少ない。

当たり前だが、少数精鋭だから一軍なのだ。

 

そして何より、現実世界が忙しい。

リアルの世界でコミュニケーションや恋愛を行なっているため、擬似でも同様のことを行うだけの時間がない。熱心に行うには時間が足りていない。

 

擬似に全力で取り組むのは、学生時代には相手にしていなかった2軍以下の人間だ。2軍だと人並みに色々あるだろうから、多分3軍以下がメイン顧客だ。お得意様だ。筆頭株主だ。

 

3軍以下は本気にするぞ〜。あいつら(私もここ)現実がないから擬似が現実だからな。

 

プリントを拾ってもらっただけで好きになっちゃう我々が、握手を握手で割り切れるわけがないのだ(そうなってしまうのが目に見えているので握手会には参加しない)。

 

ずっと1軍にいた彼らは、相手にしていなかった3軍を相手に活動をする。なんなら3軍の機嫌を取りながら活動をさせてもらう、という逆転現象すら生じてしまう。

 

現実世界が忙しい1軍に自身の存在が届くほどに上昇することは難しいし、3軍との接触を切り離せるほどに上昇することはさらに難しい。

 

そして何より、抜群に整った容姿の人を除けば、格好良い順・可愛い順ではないという皮肉。魅力ってなんなの?

 

クラスの1軍がアイドルを目指すことは、アスリートに対する、そんだけ上手ければプロ目指すよね、とはなんか違う感じ。

わかるけどわからない。

 

もっと高いレベルでプレーをしたい、というアスリート的発想…。

目の前の壁は高い方が登ったとき気持ちいいもんな、ってミスチル的発想…。

 

あっ、ちょっと来たかも!

 

野球で食ってく。

 

→わかる

 

歌手で食ってく。

 

→わかる

 

抜群に整った容姿で食ってく。

 

→わかる

 

1軍の容姿とノリで食ってく。

 

→わからない

 

それで食ってけるのか?

はい、大丈夫だと思います。

 

このやり取りのときに、学生時代を1軍として過ごして来たことが何の根拠になるんだよ、と思ってしまう。

だから不思議なんだろうな。

 

だからこそ、か。

あぁそうか、だからこそだ。

 

あいつら3軍を相手にする仕事を選んでいるつもり全くないんだ。どうせ人気者になっちゃうと思っているから初期費用くらいにしか考えていないんだ。

野球を始めるときに、バットやグローブを買うように、アイドルを始めるときには3軍との接触が必要になる。

その程度にしか考えていない。

 

だとすると、わかる。

ちっとも不思議じゃない。

成功体験だけを抱えているから足を踏み入れてしまうのか。