いわにし日記

「いわにし」の取るに足らない日常や思いつき

上がったボリューム、煌めくベース

藍坊主、というバンドが好き。 五厘刈りの青坊主の時から、それなりの禿げ頭になったアラサーの今でも。長いこと聴き続けている。

 

出会いは高校2年の時。同じ部活の友達が、別の友達と音楽談義をしているのを盗み聞きした。

 

2人は好きなバンドについて喋っていた。 ゴイステ、ハイスタ、銀杏ボーイズ、太陽族、筋肉少女帯、ブルーハーツ・・・などなど。

盗み聞きをしたものの、ブルーハーツくらいしかわからなかった。僕はいわゆるJーPOPを聴いて育った。

 

その日、部活の帰りにGEOに寄った。ア行のアーティストの棚を目指す。3枚のアルバムを借りた。ヒロシゲブルー、ソーダ、ハナミドリ。

バンドの名前は「藍坊主」。

 

なんで藍坊主を聴いてみようと思ったのか思い出せない。いろんなバンドの名前が出ていた中で、どうして藍坊主だったのか覚えていない。

 

名前のインパクト?

だったら筋肉少女帯を借りたはずだよな。

 

初めて聴いた時から12年が経つ。 ずっと聴いてきたけれど、ずっと好きだったかというとそうでもない。同じようなファンは多いと思うけど、フォレストーンの時に心が離れていきそうになった。

他に興味を持っているバンドがあったら、そこで聴くのをやめていたと思う。

 

音楽に対する興味関心が薄くて良かった、と今になって思う。頭髪が薄くて良かった、とは今もこれからも思わない。

 

ミュージックステーションやカウントダウンTVのランキングで上位に来るようなアーティストは知っている。 流行りの曲は一応知っている。

この程度の興味の人間に藍坊主は入ってこない。あの日盗み聞きをして、帰りにGEOに寄った自分にはお礼を言いたい。

 

最新アルバムの「木造りの瞬間」を聴いて改めて、やっぱいいな、と思った。予約してフラゲした割に封を開けたのは7月だけど。アルバムの発売は1月下旬だった。棚しまってすっかり忘れていた。

 

僕はバイトの行き帰りに音楽を聴くことが多い。歩きながら聴くので、安全優先で音量は小さめ。大音量が苦手なのもあって、歌詞が聞き取れる最小の音量で聴いている。

 

iPhoneにイヤホンのコードをぐるぐる巻きにしているとよくあるのだが、再生した瞬間に耳をつんざくような爆音が流れ込んでくる。僕はあれが心の底から嫌い。その時に再生されていた曲もろとも嫌いになりそうになる。

 

信号待ちの間にコードを解き、イヤホンを耳に入れる。目の前の信号が赤から青に変わる。交通量の多い道路だったので、信号が変わると同時に車のエンジン音が鳴り響く。

音楽を再生すると、苦手な爆音が流れ込んできた。すぐに音量を下げて歌詞が聞き取れる最小の音量に調整をした。

 

大通りを左に折れて細い路地に入る。車の音が遠ざかっていき、音楽が鮮明になっていく。 明らかにいつもより音が大きい。

聴き始めが交通量の多い道路だったので気がつかなかったが、静かな場所で聴くといつもの倍ぐらいの音量であることがわかる。

 

曲がBメロからサビへと差し掛かっていく。

 

ドゥルルドゥドゥドゥダダッダダン。サビがドーン!!!

 

ちょーカッコいい。初めて旦那を見た日のトキメキの如し。なんとなくメロディと歌詞だけを聴いてきた自分が、ものすごく勿体無いことをしてきたと思った。

12年も聴き続けてきたのに。こんなことに13年目で気がつくだなんて。 馬鹿だなぁ、自分。

 

バンドで音楽するってこういうことなんだろうな。こういうことがすごく魅力的なんだろうな。アカペラでもギター1本での弾き語りでもないのは、これがあるからだよね。

 

具体的に何がどういいのかを言えない。でも確信を持てるくらいに強く、だからバンドなんだろうな、と思った。

 

ベースを好んで選ぶ人がいても不思議じゃないと初めて思った。

派手さはないし、歌わないし、なんでベース?って思っていた。 好きで才能あったらボーカルかギター目指すもんじゃないのか?とも。

 

可愛い子はみんなアイドルかモデルを目指す。 派手で結果がわかりやすいところに人気も才能も集中するのが、好きなものを仕事にしている人たちなんじゃないか?

 

そう思っていたけど、大音量で聴いてそれぞれの楽器の音をちゃんと聴くと、そりゃあバンドやりたくなるよな、と思い改めることになる。

ベース格好いい、ベースやりたい。望んでベースを担当する人がいることに不思議さを感じなくなった。

 

シャビがどれだけボールに絡めるか。前を向いてプレーすることが出来るか。数年前のバルセロナやスペイン代表ってこの人の出来がゲームの質を左右していた。

派手なプレーやわかりやすい結果とは違うところで、サッカーファンはこの人に魅了されていた。

 

ベースやりたい気持ちって、シャビすげー!ってなる気持ちに似ているのかな。

 

バンドの楽曲は、楽器の音がちゃんと聴き取れる音量で聴いてこそ魅力が理解できる。この事実を知ってしまった。

 

2日目の方がうまいとわかった後も、カレーを作ったその日に食べきるような馬鹿はどこにもいない。 歌詞が聴き取れる最小の音量で聴き続ける馬鹿は、ここにはもういない。